雑談の広場



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[ 1185 ] Re:落日2-2
[ 名前:Maxi  [ 日付:2010年11月12日(金) 02時15分 ] 
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土曜の昼過ぎ、学校から帰った彩子は、父親が酔い潰れてソファで寝てしまっているのを見つけ、思わず溜息を吐いた。
半年ほど前から酒量の増え始めた父親。最近では休日の朝から飲むようにもなっていた。健康のためにもお酒を止めて欲しいけれど、
仕事でのストレスを思うと、彩子は父親に対して強く言うことができなかった。
 自分の部屋へと戻った彩子はセーラー服を着替えることなくベッドに倒れ込み、ごろりと寝返りを打って天井を見つめた。
背中の中程まで伸ばした黒髪の先を指でもてあそびながら、彩子は父親にお酒を止めさせるにはどうしたらいいのかを考え、自棄酒の原因を探し始めた。
 母親が居た頃は、あんな無茶な飲み方はしていなかったことを思い出す。
お酒を飲んで気分の好くなった両親は、娘の前にも関わらず濃厚なキスをしたりと、年頃の娘を困らせてもいた。そして、その晩は必ずといっていいほど、
夫婦の激しい夜の営みがあったことを思い出す。
(やっぱりお母さんが浮気して、出て行ったのが一番の原因よね)
 いつもその結論にたどり着き、母親とのこじれた関係を思い出して彩子の気はくさくさする。いくら考えを巡らしても、どうしても母親の不倫の原因は解らなかった。
そして目の敵のようにされる謂れも。
(お母さんとの仲が完全にダメになったのは、あのときからかな)
 母親との仲が完全にこじれる少し前、怒った母親が実家に帰ってしまうほどの大喧嘩を、両親がしたことがあった。
彩子がお風呂に入っていた時に、脱衣所を兼ねている洗面所にいた父親と母親が喧嘩を始めたのが始まりだった。
(で、帰ってきたら私を冷たい目で見るようになってて)
 娘に冷たく当たる母親。親子の関係は完全に冷え切っていた。彩子が学校から戻っても家に居ないことが多くなったのは、その頃から母親が浮気をしていたからかも知れない。