雑談の広場



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[ 1222 ] Re:落日3-5-4
[ 名前:maxi  [ 日付:2010年11月12日(金) 02時48分 ] 
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漸く息が落ち着いてきた彩子は、ぼうっとする視界でテーブルやソファに飛び散った液体を確認した。太腿を濡らす液体を指で掬い、恐る恐る臭いを嗅ぐ。
(おしっこじゃない、みたい……)
 ほとんど無臭で、尿であることを示すアンモニア臭は全くなかった。
ずり落ちるようにしてフローリングにへたり込んだ彩子は、尻の下のぬるぬるした液体からもアンモニア臭がしないことに気付いた。
 リビングの窓際にジョンはうずくまり、萎えていく生殖器を舌で綺麗にしている。彩子は突然の出来事にリビングの惨状を呆然と見つめていた。
(なんだろう。でも、すごい……。アソコが壊れちゃうかと思うくらい擦られて……)
 あんなに激しい抽送はジョンにしかできないだろうと、彩子は牡犬の本能に驚嘆した。
(まるで獣みたいに吼えて……。意識が飛んじゃうかと思ったわ……)
 このままどうにかなってしまうのではないか、そのままジョンとのセックスを続けていたら本当の牝犬になるんじゃないかという不安は、
今ではもう一度味わいたいぐらいの甘美な記憶に摩り替わっている。無意識のうちに、手がクリトリスと尖り立つ乳首に伸びていった。

 三時を告げる時計のチャイムで、彩子は夢幻境から現実に引き戻された。
「やだっ。あと三十分もしたら、あゆみが帰ってきちゃう」
 慌てて時間を確認し、改めてリビングの惨状を確認して溜息を吐いた。
「掃除しなきゃ……」
 躰中を汗と粘液で濡れ光らせた彩子は、のっそりと立ち上がってふらつく足取りのまま窓際に歩み寄り、ジョンを庭に帰した。
そして、リビングに残された獣欲の残滓を綺麗に拭き取り、風呂場へと向かった。

「おかえりなさい、あゆみ」
 昼間の痴態を露とも感じさせない完璧な母親の顔で、彩子は愛娘を迎え入れた。
「そうだ、あゆみ。昼間、パパからね、夜になったら電話するからって」
「ほんと?」
「本当よ。だから、あゆみ。パパを元気付けてあげてね」
「うん、わかった!」
 嬉しそうに自分の部屋に駆け込んでいく娘の姿を、彩子は複雑な表情で見ていた。
 そして、夜になると約束通り拓雄は電話をしてきた。子機を手放さずに待っていたあゆみは、父親の元気な声に満面の笑みを浮かべている。
(やっぱりあの子には父親が必要よね、悔しいけれど……)
 愛娘のために。彩子は夫の浮気に目を瞑ることを改めて決意し、代わりに得た飼い犬とのじゃれ合いに想いを馳せていた。