(四)加代があさましき行いを見せること

夜が明けると、雨は濃い霧にかわっていた。平太は左足をかばいながら土間に下りると、板の間の上がり口によいしょと腰を下ろした。足首は、折れてはいないようだったが、痛みが引くまで三日はかかりそうだった。

どうしたものか、と平太は思案にくれた。本来なら内職で蓑作りでもしなければならないところだが、そんな気になれなかった。おねえはと見ると、早くも繕い物を出して、せっせと針を動かしている。昨日の今日でよくそうも平然としていられると思ったが、案外、そんなものかも知れなかった。どうであれ、日は巡るし、腹は減る。多少のことがあったからといって、日常のすべてを放り出すわけにも行くまい。たぶん、日常の合間を見て「多少のこと」をやらねばならぬのだろう。だがそれでも、平太はなんとなく、腰を上げる気にならなかった。

そのまま、半刻ほども過ぎた。さすがに見かねたのか、加代は繕い物をおいて板の間の端まで出てくると、平太の横に膝をついて座った。

「まだ、考えておるのかぇ」加代の声には、責める色もなく、ただ弟の様子を案じるだけのようだった。

「考えては、おらん」平太は答えた。「ただ、ぼおっとしておるだけじゃ」

「それも、考えておるうちじゃろう」いたわるように、加代は言う。「考えるともなく、考えておるのさ」そして、おし黙った。

しばらく、二人は何も言わなかった。イワオが、ぶるっと首を振って、不安そうに二人をながめた。

「おねえ」やっと、平太がぽつりと言った。「おねえは、イワオが好きか」

「好きじゃ」かけらほども迷いを見せずに、加代は答えた。「イワオのことは、ほんとうに、好きじゃ。イワオがおねえを見る優しい目つきも、顔をすり寄せてくる甘えん坊な仕草も、身体を寄せ合ったときの汗の匂いも、全部、好きじゃ」

「そうか……」また言葉が切れかけたが、平太はなんとか続けた。「俺は、おねえが好きじゃ

「平太、おまえ……」

「いや、好きというのとは、違うかもしれん」言葉が続くたび、平太の中にある迷いのようなものが、すこしづつ溶けていくようだった。「好きというのではなく、そうだな、おねえの顔がよいと思った」

「顔……?」加代は戸惑った。

「昨日の顔じゃ」と平太は言った。「イワオの精を注がれて、ねとねとと汚らしいのに、そのおねえの顔が、なんともよかった。畜生のものをいっしょう懸命、口に入れようとしている顔も、せいいっぱい開いた口の中で、馬のために舌をつくすところも、わしは忘れられん。これは、好きというのとは、違う気がする」

「それも、好きのうちじゃろう」つぶやくように加代は答えた。

「好きのうち……おねえはそう思うのか」

「ああ、おねえはそう思うぞ。平太の気持ちも、好きのうちじゃろう。それでよいさ、わしは」加代の視線が、じっと後ろから平太を見つめた。「もう一度、見たいのかぇ」

「もう一度、やりたいのか、おねえ」

やりたい。もう一度といわず、何度でもやりたい。平太は、おねえがやるところを、見たいかぇ」

見たい。もう一度といわず、何度でも見たい。おねえは、俺に見られたいと思うか」

加代は、ちょっと黙った。そして答えた。「見られても、よい……いや、見て欲しい。平太には、おねえの一部始終を、見られたい」

「俺は、いろいろ言うぞ、おねえ」

「いい」

「その……ひどいことを、だぞ。いいのか、言われても」

「いい」そして、加代はきっぱりと言った。「言っておくれ、平太。おねえに、それを、存分に言っておくれ。おねえは、言われてみたい」

平太は振り返ると、ぐい、と加代の肩を抱き寄せた。姉に顔を寄せると、囁くように言う。「淫らだな、おねえ。そんなに馬と乳くりあうところを、俺に見せたいのか。イワオは家族同然とはいえ、家畜じゃ、畜生じゃ。畜生を歓ばせるために乳をほり出して、畜生の汚いいち物を舐めて、吸って。畜生の精を顔に浴びるところを、この俺に見せたいのか、おねえ」

「見て……見ておくれ、平太」加代は瞼をとじ、すぐそこにある弟の顔に囁きかえした。「おまえのおねえは淫売じゃ。畜生のものを舐めるのが好きなひとでなしじゃ。この胸に、馬の大きな大きなものを押しつけたくて堪らないのじゃ。おねえがすることを、存分に見ておくれ、平太」

「おねえ、俺は、まだ女も知らんのだぞ。女も知らん弟に、そんな浅ましいところを見せようと言うのか。無垢なこの俺に、実の姉が畜生に汚されるところを是非にも見せようと言うのか」

「そうじゃ」加代は答えた。「おねえは、浅ましい女じゃ。今まで何度も、平太に隠れてイワオと乳くりあっておったのじゃ。でも、今日からは、おねえは平太に、見られたい……」

加代は瞼をあけて、まっすぐに平太を見た。そして、言った。

「見たいと言っておくれ、平太」

「ああ……見たい」

加代の躰の芯を、かぁっ、と火柱が突き抜けた。

「土間に降りろ、おねえ」平太は加代を突き放して、言った。加代が、はっ、と目を見開いた。「土間に降りて、着物を脱げ、おねえ」

◆ ◆ ◆

おずおずと、加代は板の間から土間に降りた。湿った土を踏んで、はだしの足の裏がひやりとした。

「着物を、脱ぐのか?」

「そうだ」板の間に座ったまま、平太はおねえを見た。「腰巻きも、なにもかも、全部、脱げ。脱いで、素っ裸ででそこに立て」

言われるままに、加代は帯を解き、着物を脱いだ。脱いだ着物をどこに置こうかと困ったが、他にしようもなく、土間の地面の上に放るしかなかった。腰巻きに手をかけたところで、加代はそれ以上進めなくなった。顔が、かっか、と熱くなった。

「何をしておる。腰巻きも取るんじゃ、おねえ」平太がせかした。

ぎらぎらした平太の視線が、腰巻きの中心を射抜くようだった。加代は震える手で腰巻きをほどいた。ほどいた後も手放すに手放せず、下腹部の前でぎゅっとそれを握りしめた。が、平太の視線のほうが強かった。加代は、腰巻きを地面に捨てた。せめて前を手で隠したかったが、平太のねじ込むような視線が、それを許さなかった。

加代は後ろに手を回し、弟の視線に耐えた。競りにかけられた牝馬の気分だった。

「や、や、やぁ」平太がはやしたてる。「おねえ、この恥知らず!! 真っ昼間から男の前で裸を晒すとは、なんのつもりじゃ? 人なら服を着るものじゃ。それとも、おねえは畜生か?」

顔を赤らめたまま、言い返すこともできずに、加代は立ちすくんだ。

「畜生なら、おねえ、そこで四つん這いになって、俺に尻を見せてみろ。牝かどうか鑑定してやる。どうだ、おねえ。人なら服を着ろ。畜生なら地べたに這え。おねえは、どっちだ?」

加代は目を伏せると、膝をつき、両肘をついて、土間に這った。淫売もいいところだと思った。そして弟に向かって尻を突き出すと、下から手を回して、熱くなった襞を拡げて見せた。拡げたとたんに、とろっ、とろっ、と堪えきれなくなった蜜が太腿を流れ落ちた。平太がいじめるからだ、と思った。とても、恥ずかしかった。

「まったく、いいざまじゃ。この出戻りの淫売めが。ほれ、畜生なら馬囲いの中に入らんかい」平太は板の間から降りると、加代を追い立てた。ついでにそこらに転がっていた棒っきれを拾うと、それで加代の尻をぺしぺしと叩いた。「ほうれ、この畜生が。ほうれ、大好きな磨羅のところへ這ってゆけ。弟に尻を叩かれて這ってゆけ。ほうれ、ほうれ」

尻を叩かれながら、加代は素っ裸のまま土間を這い、イワオの馬囲いの中に入った。イワオが、不思議そうな目でこちらを見ていた。なんだか胸がどきどきした。

「イワオ」平太が馬に呼びかけた。「おねえがな、どうしてもイワオのまらをしゃぶりたいというんじゃ。おねえはこのとおり、恥知らずな淫売女じゃが、良かったらしゃぶらせてやってくれんか」そして、棒っきれで加代の尻をぺしぺしと叩いた。「ほれ、おねえも自分で頼まんか」

加代は、イワオの側に跪いた。胴を撫でると、イワオの匂いがした。イワオは加代の方をふり向いて、興味津々な視線を投げかけた。背後からは、弟の期待に満ちた灼けるような視線が注がれている。

「イワオや……」そうっと腹をなでながら語りかける。「イワオや、おねえはな、おねえは……」なんだか、言葉がうまく出てこなかった。「おねえは、イワオのことが好きじゃ。だから、イワオに気持ちいいことをしてあげたい。おねえは……」

かっ、かっ、と顔が熱くなってきた。素っ裸でこんなことをするものではない。

「おねえは、イワオのまらが大好きじゃ。イワオのまらに、惚れてしまったんじゃ。だから、イワオのまらを、撫でさせておくれ。イワオのまらを、舐めさせておくれ。イワオのまらで、おねえの乳を捏ねておくれ。そして、そして、イワオの精を、おねえにたくさんかけておくれ」

加代の手は、優しく、イワオの股間を揉んだ。イワオは大きく息を吐いて、しっぽをばさばさと振った。加代の手が気持ちいいらしかった。

ぬうぅっ、と、黒いものが、股間からそそり出てきた。

「イワオ……」

加代はその黒い棒に頬ずりした。両手が、イワオに沿って動いた。イワオの逞しさが、愛おしくてならなかった。堂々と立ちつくすイワオの姿を、とても男らしいと思った。顔だけでなく、全身が熱く上気してくる。やはり、素っ裸でこんなことをするものではない。

平太が馬囲いの中に入ってきて、加代の横に膝をつくと、その手つきを熱心に観察していた。それを意識しながら、加代はイワオのものを乳房に押しつけた。亀頭は、張りつめたように堅く、加代の乳房を押しつぶした。イワオのものに圧迫された乳首が、激しく疼いた。

加代はイワオのものを掴むと、それで思いきり胸を掻き回した。右も左も、加代の乳房はひしゃげ、イワオに蹂躙された。「イワオ……おねえの乳をやるぞ。おねえの乳は、おまえのものじゃ」胸の谷間に巨根をあてがうと、加代は両方の乳房で挟んで、踊るようにイワオのものに乳を押しつけた。

さんざんに胸を嬲らせたあとで、加代はようやく、肉棒に唇をつけた。

「こんどは、口か」熱っぽい視線を注いで、平太が言った。弟は、顔がくっつきそうになるほど近くで、馬の肉棒に押しつけられた姉の唇を見つめていた。

見られながら、加代は男根に唇を這わせた。先端を吸い、舌を出して舐めあげた。弟の視線が熱かった。たっぷりの唾液を含ませた舌で、イワオの先っぽをねっとりと舐め回した。それも、弟に見せた。そこに唇を押しつけると、自分の唾液で唇が濡れ、加代は顔を汚しながらイワオのものを舐め回した。舌の動きも、唇の愛撫も、弟の視線が奪うように見守っている。

「なんと畜生じみた、いやらしいことをするんじゃ、おねえは」平太が言った。「ああ、おねえの舌の動きを見ていたら、俺のものまで大きくなってしまったわい。おねえの舌が動くたびに、俺はどうにかなりそうじゃ」加代の舌の上を、痺れるような快感が這い回った。

加代は目を閉じると、イワオのために心を込めて、舌を使った。イワオが大きく、つよく息を吐き出した。女主人の奉仕を堪能しているらしかった。加代はただ、イワオの快楽のためだけに舌を駆使し、口で吸った。平太にもっと、見せつけたかった。「畜生の汚らしいものを、そんなに一生懸命、舐めおって」平太がささやく。息が熱く湿っている。「淫売め。おねえは淫売じゃ。畜生のために、舌も口も使っておる」

加代は唇を開くと、イワオの先端をぐぅっ、と押しつけた。「そんな大きなものを、くわえるつもりか?」平太に見られながら、せいいっぱい開いた唇を、イワオに押し当てる。「さすがに入らんな。お、そこで吸うのか」押し当てた口の中で、先端に舌を這わせた。「ああ、舐めておる、舐めておる。俺が見ているのに、そんな畜生じみたことをするのか、この淫売女!!」

加代はイワオのものを丹念に吸い、しゃぶった。それをすべて、平太に見せつけた。イワオの先端は、加代の唾液で、ぬめるようにひかっていた。イワオの息は悶えるように荒くなってきていた。

そしてついに、イワオのそれが激しく脈打った。

「んぐっ!!」

噴出した精液に直撃され、加代は思わずイワオから唇を離した。

どくどくと吹き出したイワオの精が、加代の顔を汚し、乳房にしたたった。最初の放出で注がれた分が口の端からどろりと流れ出し、顎につたっていった。

そのありさまを、平太の目が食い入るように見つめていた。馬に汚された顔の上を、弟の視線が舐めるように這い回っていく。加代は、ふたたび唇を開いて、イワオの男根にくちづけた。まだ続いている噴出が、口の中に流れ込んだ。加代はそれを咽に受け入れた。噴出は、止まらなかった。加代は注がれるままに、飲んで、味わった。尻の奥が、つーん、と疼いた。

「そんなに美味いか、この淫売が」姉を罵倒しつつ、弟は加代の頭の後ろに手を添えた。「それなら、もっと飲むがいいわ。汚らしい畜生の精を、たっぷりと、な」

平太の手にわずかに力が込められ、弟は姉の頭を馬の男根に押しつけた。加代は歓喜した。夢見るような至福の表情をうかべ、弟に強いられるままに加代はイワオの精を飲んだ。加代は馬用の射精道具だった。家畜に奉仕する道具に身を堕として、加代は屈辱とともに馬の精を味わい、すすんでイワオの先端を舌でまさぐっては、なおもイワオを悦ばせようとした。

「おねえ、おねえよ、俺は情けないぞ」加代の頭を押さえつけたまま、平太はいかにも哀れっぽく嘆いて見せた。「おねえは、畜生じゃ。馬の精でねとねとに汚されて、そんなに嬉しいか? ほう、ほう、その汚いものを、ごくごくと呑んでおる。こんなざまを見ておくれなどと、見られるのが嬉しいなどと言いおって。ああ、こんなあさましいおなごを姉に持って、わしまで畜生になりそうだわ。けだもののまらを舐めたり吸ったりしたあげく、精まで呑み干しおって!! ほれ、もっと呑むがいいわ。この、畜生女が!! 畜生女が!! 畜生女が!!」

平太の言葉に鞭うたれるたび、加代はぞくぞくするような喜びを覚えた。尻の間が、痛いほど疼いた。

「淫売おねえ!! 馬好きおねえ!!」

そうだよ。と、加代は思った。おまえのおねえは、馬のまらをしゃぶるような淫売女なんだよ。畜生に精を浴びせられて喜ぶ変態なんだよ。ああ、もう飲めない。でも、まだ出てる。どうしよう。そうだ、顔を嬲ってもらおう。それに乳も。もっとおねえを汚しておくれ、イワオや。

「俺のおねえは、馬好みときた。おっきなやつが欲しくて、馬のをしゃぶる!! 身内に見られても、おかまいなしだ」

見られてるんじゃない、見せてるんだよ。平太、あたしのかわいい弟。さあ、もっと見ておくれ。あれ、指がイワオの精でこんなに汚れている。唇をひらいて、指を入れて。平太、見えるかい?ほら、ちゃあんと、しゃぶってる。だってイワオの精で汚れているんだもの。イワオの味がする。さあ、こんなにきれいになった。でも、またすぐに汚れてしまうねぇ。なにしろ、顔も乳も、おねえの体はこんなにイワオの精で汚れているんだもの。

「おねえ……おねえがそんなことをするたびに、俺のまらがどうにかなりそうじゃ。それなのに、まだそんなあさましいさまを見せるのか? おねえを見て俺のまらがこんなになるのが、そんなに嬉しいか?」

おまえだって、見たいんだろう、平太。おねえが汚れるところを、もっと見たいだろう? おねえも、なんだか股が濡れている感じがするよ。ほおら、脚をこんなふうにすると、平太にも見えるだろう。ちょっと触ってみようか。ああ、やっぱり濡れている。真ん中のほうが、一番濡れているよ。どうしよう。指が、入りそう。でも、駄目。指はイワオの精で汚れてる。こんな汚れた指を入れちゃ、駄目……。だって、イワオの精が……駄目……入れたら、仔種が……駄目、駄目、駄目……!!

「あぁ……駄目……」加代は両手をついて、寝藁の上につっぷした。「あぁ……平太……おねえは、もう……」まるで、炎のようなものが腰の奥で脈打っているようだった。「おねえは、もう……」

「おねえ、どうした?」

「おねえは……もう……駄目じゃ」尻をくねらせながら、加代は搾り出すように言った。「あぁ……おねえは……おねえは……イワオと交合りたい!!」

◆ ◆ ◆

言葉がほとばしるままに、加代は訴えつづけた。

「おねえは、イワオが欲しい!! イワオのまらで、おねえの股を嬲られたい!! イワオの太い太いあれを、入れられたい!! イワオの長くて硬いあれで、胎の奥まで突き刺されたい!! 突かれて、嬲られて、そして……この胎の中に、イワオの精を注がれたい!!」

「う、馬と、やりたいと言うのか、おねえ?」

「そうじゃ!! おねえは、馬と交合りたい!!」

「馬、と……」

「そうじゃ!!」

「馬と?」

「馬と、じゃ!! ああ……何度でも言うぞ。『おねえは、馬と交合りたい!!』、『おねえは、馬と交合りたい!!』、『おねえは、馬と交合りたい!!』」

「おねえ……」

「『おねえは』、『うまと』、『まぐわりたい』!!」

加代は思い切り大声で叫んだ。

「『加代は』!! 『うまと』!! 『まぐわりたい』!!」

誰かに聞かれたとしてもかまわなかった。声のかぎりに、加代は叫んだ。

「おねえはイワオが好きじゃ!! あさましい畜生が大好きじゃ!! 『おねえは、馬と交合りたい!!』」

「おねえ……」

「お願いじゃ、平太」加代は弟にすがりついて訴えた。「お願いじゃ。な? な? おねえは、もう一生、畜生でいい!! もう二度と着物なんか着ないで、裸のままでいい!! 死ぬまでずっと、イワオと同じ馬屋の中でいい!! 縄でくくられて、畑で鍬を引いてもいい!! だから、だから……イワオと交合らせておくれ!! 馬と交合らせておくれ、平太!!」

「畜生に、なるだと……」

「そうじゃ!! おねえは、畜生になる!! おねえは、イワオの嫁になる!! おねえは出戻りで、あさましい淫売女じゃが、それでもイワオの嫁になりたい!! 平太!! おねえを、イワオに嫁入らせてくれ!! 金輪際、縁切りしてくれてもいいから!! 畜生と蔑んでくれていいから!! おねえを、お馬の嫁にやっておくれ!! おねえを飼い馬にして、イワオの種をつけておくれ!! おねえに、イワオの仔を産めと言っておくれ!! おねえが馬を産めば、きっと平太の役に立つ。百姓仕事も楽になる。平太のために、おねえは馬の仔を産む!! その仔とも交合って、もっと馬の仔を産む!! たくさん、たくさん馬の仔を産む!! わしの胎を使って、馬を増やしておくれ!! おねえは馬と交合りたい!! 馬と!! 馬と!! 馬と!! だから……だから……お願いじゃ!! 平太!!」

「身内を、馬畜生なんぞの嫁に差し出せと言うのかっ!?」

「平太……」熱がすうっと冷めていくような感じだった。加代は視線を落とし、うつむいた。「平太……すまん」

「おねえがイワオに嫁入りしたとて……」平太は押し殺すように言った。「けっきょく、この家の中の馬屋に入るんじゃろうが。おねえがイワオと交合っているさまを、毎日、この俺に見ろと言うのか」

「すまん……平太」

「おねえは、それを俺に見せたいのか? 実の姉が、馬の慰みものにされるところを、弟の俺に見せたいか?」

「平太……」希望のような、かすかな手懸かりのようなものが押しつけられたのを、加代は感じた。目を上げると、弟は邪な欲望に燃える視線で、加代の答えを待っていた。その視線にすがるようにしながら、加代は手探るように言葉を探した。

「平太……」加代は言った。「平太は……おねえのこと、好きじゃろ? おねえと、男と女のことをしてみたいんじゃろ? おまえの精でおねえを汚したいんじゃろ? おねえには、わかってたよ」

屈辱? 嫉妬? 加代には、弟が眼の奥で燃やす狂おしいものが見えたような気がした。

「でも、それは駄目。だって……おねえは、イワオが……馬が好きなんじゃ」灼きつくすような、すがりつくような視線。加代は言葉をつづけた。「おねえは……馬の、大きいのが、好きで好きで堪らんのじゃ。だって、平太のより大きいし、平太のより長いし、平太のよりずっとずっと強いから。だから……平太が、おねえのことを好きなら……おねえが馬と交合るところを、見せてあげたい。おまえの好きなおねえが、馬畜生に慰み物にされるところを見せてやりたい。おまえに見られている前で、おねえのほとに馬のまらが突き刺さるところを、平太に見せてやりたいのじゃ。な?」

「見せたいか」

「見せたい」加代は答えた。「平太に、見せつけたい。おねえが馬と交合るところを、かわいい弟に見せつけてやりたい。平太のまらが突っ立つくらいに、あさましいところを見せつけてやりたい。まらを突っ立たせている平太の前で、馬のまらで突いてもらって、どっくどっくと精を注がれたい!!」

加代は平太ににじり寄ると、あからさまに自分の胸を揉んで見せた。

「ほうれ、平太。おねえの乳は、馬の精でこんなに汚れておるぞ」わざと優しい口調で、加代は囁いた。「平太に見られながら、毎日、こんなふうに汚されたい。いや、もう乳ではなく、おねえの股から馬の精がしたたるところを、平太に見せたい。な? 滅多に見られん見物じゃぞ、平太。人と馬が交合るところ、見たいじゃろう? おまえの好きなおねえが、おまえの目の前で、イワオに種付けされるのを見せてやるぞ。な? どうせ、おまえのものにはならん身体じゃ。いっそ、馬にくれてしまえ。一生、畜生と交合らねばならぬ身にしてしまえ」

尻を振り、乳房を地べたに押しつけて、加代は弟の膝元に土下座した。望みが叶うなら、屈辱ですら心地よかった。

「平太、お願いじゃ、お願いじゃ。わしは平太に飼われる家畜になりたいのじゃ。わしの身体で、イワオの種付けを平太にやらせてあげたいのじゃ。おねえの一生に一度のお願いじゃ。いや、おねえの一生は、平太の好きにしていいから……平太、おまえのおねえを、種付け用の牝馬として買い上げておくれ。おねえを、畜生にしておくれ」

「おねえは、俺を畜生と縁つづきにするつもりか?」

「する」加代はなりふり構わず言った。「イワオと交合れるのなら、おねえはなんでもする。どうか畜生の弟になっておくれ、平太。おねえのために、畜生と縁を持っておくれ。そのかわり……そのかわり、平太の手で種付けしてもらうから。平太の手で、おねえの尻を押し開いておくれ。平太の手で、馬の磨羅を押し込んでおくれ。おねえを牝馬に出来るのは、平太だけじゃ。だから、おねえの身体をイワオのまらで、好きなだけ嬲っておくれ。イワオのために、おねえを滅茶苦茶にしておくれ。おねえは、そうなりたい!!」

「淫売!!」

「もっと、淫売になりたい」

「畜生!!」

「いっそ、畜生の嫁になりたい」

「縁は、切らんぞ」平太は言った。「身内のままで、馬の嫁にしてやる。身内のままで、馬と交合らせてやる。たった一人の身内の前で、馬と交合ってみるか、おねえ? こんな恥さらしなおねえが、俺の前でイワオと夫婦になるところを見せてもらうぞ!! 毎日々々、俺の前で、イワオと種付けさせてやるぞ、おねえ!!」

「あぁ……平太、おねえは嬉しい」

「イワオのはまるで腕のように太いぞ、おねえ」欲望を込めた意地悪い口調で、平太は加代を焚きつけた。「イワオの、丸太のような『男ぶり』が、な。おねえの股の間に、ずぶりと突き込まれるそのさまを、見せてもらうぞ」

声にならない吐息を漏らした姉の顔は、火照る歓喜に陶然と輝いていた。



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