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Life as a Dog


Ver 1.00

作:クロマイト



その日、あたしはひどくいらついてた。

原因は、今付き合ってるあいつ。

まったく、付き合い始めたばかりの頃は、自分から手も握れなかった癖に。

一度エッチしたら、人が変わったみたいにやりたい放題。デートの時だって、エッチする事しか考えてないみたい。

そりゃ、あたしだってエッチはしたい。

けど、今日みたいにデートの最中から露骨に迫ってこられたら、やっぱりちょっと引いてしまう。

で、ちょっときつい事言ったら、今度はいじけて不貞腐れた態度。それがあんまり子供じみてるから、いい加減頭にきてつい言ってしまった…

『あんたはヤれりゃ誰でもいいのか』

その後はもう売り言葉に買い言葉、お互いに日ごろから我慢してた言葉をぶつけ合って。

土曜の真っ昼間の遊園地、人目もはばからずに痴話喧嘩したあげく、あたしはさっさと家に帰ってしまった。



まったく、いまこうしてベッドに寝転がって天井を見上げてても、お腹の底から怒りがこみ上げてくる。

たしかにあたしはあいつの前につきあってた相手がいたし、初めての相手はその前の人。同じ年頃の子に比べたら、経験は豊富な方かもしれない。だけど、いい加減な気持ちでつきあってた訳じゃない。

それを、あんな風に言うなんて。

許せない。許せない。許せない!

「〜〜〜〜〜、ああもう!」

あたしは勢いをつけてベッドから跳ね起きた。

こんな事で一人悶々としてるなんて、エネルギーの無駄もいいとこ。電気エネルギーにでも変換して電力会社に売れれば夏場のエネルギー需要にも対応できるってものだけど、生憎と今はまだ3月。どちらかと言えばクーラーよりはファンヒーターが恋しい季節だ。さっさと気分転換して貴重なエネルギーの浪費はやめてしまおう。

「甚五郎!」

開けっ放しの窓から下の庭に聞こえる様に、大声。見下ろすと、飼い犬の甚五郎がぴっと尻尾をたててこっちを見上げている。

「お風呂入るよ!」

そう言って、あたしは階段に向かった。





甚五郎は茶色い雑種の中型犬。そろそろ満2歳になる。一人っ子のあたしにとっては弟みたいな奴だ。今日みたいにどうしようもなくイライラした日には、ちょっと気分転換に付き合ってもらう事にしてる。

玄関のドアを開けると、甚五郎が軽く尻尾を振りながら待っていた。人間で言えば、軽く姿勢を正している感じ。これからあたしが何をするのか、ちゃんと解ってる。首輪ごとロープを外して、玄関の中へ。

「よいしょっと!」

足を拭く手間を惜しんで、甚五郎を抱え上げる。そのまま廊下と脱衣場を抜けて、お風呂場へ放り込んだ。お風呂はいつでもお湯が沸いてる奴だから、すぐに丁度良いお湯が使える。

ペット用の洗剤とブラシと盥もまとめて放り込んで、あたしは一旦脱衣場で服を脱ぐ。

甚五郎を洗う事。これが今のところ、あたしの一番の気分転換だった。

「ふふ」

さっき、道具を用意していた時の甚五郎の微妙な表情を思い出して、ちょっと笑った。甚五郎にとっては迷惑な話かも。自分をアピールする『匂い』が、飼い主の機嫌しだいでキレイさっぱり洗い流されてしまうんだから。

だけど、甚五郎は子犬の頃からあたしがビシビシ躾してある。子犬の気分が抜けなくてちょっとやんちゃな所はあるけど、基本的にあたしには絶対服従。今日もたっぷりとご主人様の気分転換に付き合ってもらおう…。裸になったあたしは、ちょっとほくそえみながらお風呂場へ足を踏み入れた。



だけど。

今日に限って、甚五郎の様子がいつもと違っていた。何だか妙に落ち着きがない。盥にお湯を入れるあたしの周りをうろうろしたり、かがんだあたしの髪の匂いを嗅ごうとしたり。

「こら、甚五郎!」

叱り付けるとその場は大人しくなるけれど、すぐに落ち着きを無くしてそわそわし始める。一体どうしたって言うんだろう。

「もう…大人しくお湯に入りなさい!」

無理やり盥の中に押し込んで、上からシャワーでお湯をかけた。

「きゃ…!」

甚五郎が激しくお湯を払って、辺りに飛沫が飛び散った。不意を討たれたあたしはその場に尻餅をついてしまった。

−ごん!

凄い音がして、目の前に星が散った。一瞬遅れて後頭部に鈍い痛み。

「いったぁ〜…」

眼が回る。お風呂場の冷たい床の上に腹這いになったまま、体が動かない。

壁に頭をぶつけた自分の間抜けさと、甚五郎の態度に大声を出しそうになった、その時。

−ぬらり。

「ひゃ!」

あたしの恥ずかしい部分を、生暖かい感触が走った。くちゃくちゃと、湿った音とともにあそこが弄られる。

「や…ちょ、何!?」

多分、カエルが潰れたみたいな情けない格好。我に返ったあたしは、慌てて体を翻した。

甚五郎だった。ひどく興奮した甚五郎が、荒い息を吐きながらあたしの足の間で身構えている。



「甚五郎!」

叱り付けようとして、あたしは息を呑んだ。

甚五郎のお腹から、思いもかけないものが、生えていた。

紅い血の色を透かした、いびつな肉の突起。ペニス。甚五郎の、おちんちん。

もちろん甚五郎が、そういう物を持ってるのは、頭ではわかってた。

だけど、目の前にあるこれは、そんな知識を超えて生々しかった。まるで、不気味な寄生生物みたいに。毛皮に包まれた根元から顔をのぞかせたそれは、更に大きく成長していく。

じっと身構えていた甚五郎が、あたしのあそこ目掛けて突進してきた。

「やっ!」

あたしは仰向けのまま、後ろ手に這って逃げる。

だけど、大して広くもないお風呂場で、どこに逃げられる訳もない。すぐに背中が壁に当たった。浴槽と壁との隅に、あたしは追い詰められた。

「やだ…ちょっと、やめて」

体はあたしの方が大きいのに。力だって、絶対あたしの方が強いのに。あたしは、甚五郎に抵抗する事ができなかった。

怖かった。ちょっとやんちゃな弟みたいに思ってた甚五郎が、おちんちんを勃起させて、あたしのあそこにむしゃぶりついてきて。

甚五郎が突然、知らない恐ろしい生き物に変身したみたいで、あたしは必死に膝を閉じ合わせて身を守る事しかできなかった。

そんなことにはお構いなく、甚五郎は凄い勢いで鼻先を突っ込んでくる。人間にはついていける訳がない素早さ。思わず体を丸めて身を守ろうとした時、抱えた膝の裏側と床との間に、甚五郎が割り込んできた。

「あ…やぁぁ!」

いくら固く膝を合わせても、お尻の側から見れば恥ずかしい部分は剥き出しだった。膝の下に潜り込んだ甚五郎が、狂ったみたいに恥ずかしい部分を嘗め回す。

−何で。なんでこんな事になっちゃったんだろう。

甚五郎が、飼い主のあたしに、発情するなんて。

甚五郎の舌をあそこに感じながら、そんな事を考える。素早く動く舌が、お尻の穴から、割れ目を通って、クリトリスまで。幾度となく、凄い速さで舐め上げる。

−ひょっとして、中途半端で切り上げた、あいつとのデートのせいだろうか。

正直あたしだって、エッチしたかった。デートの後に期待してなかった訳じゃない。多分、順調にいけば、あいつかあたしの部屋で、SEX、してたはず。それに期待して、何度か…濡らしていた。

甚五郎は、そんなあたしの匂いに反応したんだろうか。あたしの…雌の匂いに。

もう、膝を合わせ続ける事ができない。疲れて…甚五郎の舌が、凄くて。不意に膝の力が抜けると、甚五郎が素早く割り込んできた。

「う…ああぁぁ!」

冷たい鼻先が押し当てられ、舌が割れ目の中に潜り込んでくる。信じられないくらい、深く。ああ、こんな、こんな…。

あたしはもう、自分からお尻を浮かせて、無意識に甚五郎の舌を受け入れていた。

あたしのそこは、舌の刺激で濡れ始めている。甚五郎はそれをしきりに舐め取りながら、更に刺激を与えてくる。

凄い。凄く、気持ちいい。人間にはない執拗さと素早さで、長い舌があたしの恥ずかしい部分を弄り続ける。

ああ、いっちゃう。このままじゃ、あたし、いっちゃう。犬の舌で、いかされちゃう。

「あ…」

不意に甚五郎が、あたしを舐めるのをやめた。愛撫を中断されたあたしが、頭をもたげた瞬間、

甚五郎が、仰向けのままのあたしに圧し掛かってきた。胸の辺りを前足でまたぐ様にして、かくかくと腰を振っている。熱くて固いペニスが、あたしの腿やお腹にあたる。

もちろん、そんな所でいくら腰を振ってもペニスがあたしの中に入る訳がない。それなのに、甚五郎はゼンマイ仕掛けの様に腰を振るのをやめない。

切なそうに眼を細めながら、荒い息を吐いて腰を振る甚五郎。時々困ったように細い鳴き声をもらす。それを見ていたら、何だか子犬のころのこいつを思い出して、あたしはいくらか余裕を取り戻した。

濡れたままの頭をくしゃくしゃと撫でてやると、甘えた調子で鼻を鳴らす。自分でも止められないのか、それでもかくん、かくんと腰が上下しているのがおかしかった。

「お前、そんなにあたしと…したい、の?」

裸のお腹に感じる、甚五郎の濡れた毛皮。あたしと甚五郎のお腹の間で、生々しい器官が脈打っている。甚五郎の、おちんちん。

これ、本当に入るんだろうか

「もう。あんたたちって、」

鳩尾のあたりに、むらむらと重ったるい感覚が沸く。それに合わせて、腰の奥の方から全身に、ぞくり、といやらしい波が走った。

「する事以外、考えてないんだから」

それは、エッチないたずらを試してみる時の、好奇心と後ろめたさの入り混じった、あの何とも言えない感覚だ。

人間と、犬と。

普通なら、あり得ない行為。だけど。

甚五郎はあたしに、それをせがんでる。あたしは…

「甚五郎、しようか。あたしと」

そう言ってしまってから、あたしはそのイヤラシさに身震いした。

そして、言葉にしてしまった以上、その気持ちは止めることができなかった。

「ん…」

自分の言葉に背中を押される様に。

手を伸ばして、甚五郎のおちんちんに触れてみた。その途端、また甚五郎が激しく腰を振り始める。

「こら…大人しくしなさい」

いま、入れさせてあげるから…。

片手で甚五郎の腰を抑えながら、ペニスの先端を誘導する。あたしの息も、いつのまにか荒くなっていた。あたしのびしょ濡れのあそこに、甚五郎の先っぽが触れる。

何度か失敗した後、いきなり。

甚五郎が腰をひくつかせた拍子に、おちんちんが一気に奥まで入り込んできた。

「あ…。あああ…」

入っちゃった。甚五郎の。犬のおちんちんが、あたしの中に入っちゃった。

あたしは両腕を伸ばして、下から甚五郎を抱きしめる。せっかく入ったおちんちんが、激しい動きで抜け落ちてしまわない様に。

そんなあたしの気も知らずに、甚五郎は激しく腰を振っている。甚五郎のおちんちんが、膣襞を激しく擦り上げる。あたしのあそこが収縮して、甚五郎のおちんちんを締め付ける。

何度か突き入れられるうちに、お互いに丁度良い位置がわかってくる。微妙に姿勢を調節して、後は甚五郎が動くままに。

信じられない。

あたし、甚五郎と。犬と、してる。

凄く、大きい。

体はあたしよりもずっと小さいくせに、おちんちんは人間と同じか、もっと大きいくらい。あたしの中を、いっぱいに満たしてる。あたしの一番奥まで、甚五郎のが届いてる。

「ああ、凄い。あああ、凄いよ甚五郎」

甚五郎のおちんちんが激しく出入りする度に、あたしはイヤラシイ声を上げる。甚五郎の動きに合わせて、自分から腰を蠢かせる。あそこがおちんちんを締め上げる度に、中に収まったものの形がわかる。

お風呂場にはあたし達の荒い息遣いと、粘膜の擦れ合う湿った音が響いていた。

それは、ひどく淫らで異常な光景。

…ううん。

考えてみたら、それ程異常でもないのかも。

だって、人間同士でも、人と犬とでも。

こうやって、おちんちん挿れてお互い気持ちよくなれるのなら。

そういう風にできてるのなら、別に異常でも何でもないのかも。

快感でとろけそうな頭で、そんなとりとめのない事を考えた。

そう、あたし、気持ちいい。今、甚五郎におちんちん挿れられて、凄くすごく気持ちいい。

−あんたはどう?

気持ちよさで途切れそうな思考を繋いで、お腹の上の甚五郎と眼を合わせる。

「ねえ、甚五郎。気持ちいい?あたしの中、気持ちいい?」

これが人間の男だったら、嘘でも視線を合わせて何か囁くところなんだろうけど。甚五郎は荒い息を吐きながら、あちこち鼻先を向けてたりする。

「こら、こっち向け」

顔を両手で挟んで、むりやり正面を向かせた。顔の周りの毛並みをくしゃくしゃとかき混ぜると、ちょっと困ったような顔。時々気持ちよさそうに眼を細める。可愛い奴だ。

甚五郎がどうかはわからないけど、あたしはそろそろ限界が近い感じだった。腰を差し上げる姿勢が苦しい。

そんな時、甚五郎の動きが何となく変わってるのに気付いた。

今までの強く突き立てる動きから、何だか押し付けるような動きへ。同時に、あたしの中に収まった甚五郎のモノが、今までと違った圧迫感をあたしに与え始めた。

「あ…あああ?」

膨らんでいる。おちんちんが、あたしの中で。

信じられなかった。眼に見えないそれが、あたしの胎内で風船みたいに膨らんでいく様に感じた。

凄い圧迫感。まるで膣全体が内側から押し広げられるみたい。あたしの膣内は、奥まで挿入された甚五郎のペニスで一杯に満たされてしまった。そして…

唐突に、あたしはとんでもない事に気付いた。

−抜けない…?

膨らんだペニスの太さは、あたしの入口の大きさを超えてしまっていた。あたしのそこは、甚五郎のおちんちんをしっかりと銜え込んで放そうとしない。それ以前に…

「うああぁっ…だ、駄目」

ちょっと身動きしただけで、とんでもない刺激が襲いかかってくる。引き抜こうとして引っ張ったりなんかしたら、それこそ失神しかねない程の。

あたしはパニック一歩手前だった。犬のペニスを受け入れて、離れる事ができないなんて。

もしこのままずっと繋がったままだったら?

そんな考えが頭に湧いてくる。

今うちには誰も居ないけれど、夕方になれば母が、もっと遅くなれば父が帰ってくる。二人は、そして他の人たちはどんな顔をするだろう…お風呂場で、裸で、犬と繋がった娘を見て?

けれど、そんな恐ろしい想像も、押し寄せる快感にたちまち押し流されてしまう。更なる刺激を求めて、甚五郎を抱きしめながら、自分から腰を振ってしまう。根元が内側から膣口を刺激する度に。あそこが無意識に収縮する度に。あたしはだらしなく涎と愛液を垂れ流しながら、獣のように嬌声を上げる。

そして、腕の中の甚五郎が切羽詰った鼻声を上げた。

「あ、ああ。あああああ!」

熱い塊が、膣の中に噴射された。膣内に吐き出された液体が、ペニスで隙間無く満たされた膣を更に強引に膨らませていく。行き場のない精液が、子宮目掛けて殺到する。まるで…

まるで、脳に直接射精されてるみたいに。

気持ちいい、なんてものじゃなかった。子宮に直接ホースを突っ込まれて、熱い精液を浴びせかけられているようなもの。それが一度じゃなく、何度も何度も、繰り返し続く。

絶頂、なんて間欠的なものじゃない。言ってみればずっとイきっ放しの状態。

びゅっ、と射精される度に、背筋が弓なりに引き攣れる。視界が真っ白に漂白される。今のあたしは、甚五郎のペニスに支配された人形だった。ううん…精液を注ぎ込まれるだけの、ただの肉の袋なのかも…。



朦朧とした意識の中で、甚五郎が身動きするのを感じた。

あたしの中の射精しながら、甚五郎がもぞもぞと動いている。あたしが腕で押えるのをやめたせいか、上体を起こして何か落ち着きがない。

「あ…ちょ」

甚五郎がいきなり体の向きを変え始めた。

「待って…ちょっと待って甚五郎…あ、うあぁ」

ペニスがねじれるみたいに動いて、あたしの中をかき回す。堪らずにあたしも、甚五郎に合わせて体の向きを変える。うつ伏せで、お尻だけ突き出した姿勢。

あ、これって…

そう言えば、犬同士の交尾の時も、最後にはこんな格好になるんじゃなかったっけ?

お互いのお尻をくっ付けあって、後ろ向きにペニスで繋がった変な姿。

そう、あたし、交尾してる。甚五郎と、犬の姿勢で交尾してる。

射精はまだ続いている。永遠に続きそうな勢いで、精液があたしの中に注ぎ込まれている。その度にあたしは嬌声を上げ、涎を垂れ流して快感に溺れる。そう、まるで雌犬。今のあたしは、甚五郎の番いの雌犬なんだ。

本物の雌犬と違うのは、いくら生で中に射精されても絶対に妊娠しないということだけ。人間と犬では、遺伝子が違うから。

例え犬と交尾しても、人と犬の子供が生まれる事は絶対にない。今日は危険日だけど、

避妊しなくても妊娠の心配はしなくていい。



…妊娠の心配?

妊娠しないっていうことは、注ぎ込まれてる精子はどうなるんだろう。

人間の子宮に流し込まれた犬の精子は、やっぱり人間の卵子に受精しようとするんだろうか。

今日のあたしの子宮には、受精のために卵子が用意されているかもしれない。もしそうだとしたら。犬の、甚五郎の精子は、やっぱりあたしの卵子に受精するんだろうか。だけど、遺伝子が違うから、その後の成長はしなくて。だから、妊娠はしなくて。

そこまで考えたら、あたしは全身が溶け崩れるような快感に襲われた。

だって。

交尾。

受精。

甚五郎の精子が、あたしの子宮まで入ってくる。そこにいる卵子の膜を突き破って、卵子の中にまで入り込んでくる。あたしの卵子と甚五郎の精子が、受精して一つになる。

だけど、妊娠はしない。受精しても、卵子が成長しないから。

「ああ、凄い…。あたし、受精してる。甚五郎の精子、受精してる!」

そう考えたら、気が狂いそうな気分。夢中で叫んでいた。

「甚五郎、もっと出して。あんたの精子、あたしの卵子にもっと振りかけて!」

お互いにお尻を付け合って、荒い息を吐きながら。

いつまでも注ぎ込まれる熱い精液をお腹の奥に感じながら。

凄く気持ちいい。もっと、もっと注いでほしい。

このまま離れられなくても構わない。ううん…

このままいつまでも繋がっていたい。もう、気持ちいいのか苦しいのか、解らないけれど。

この感覚を、永遠に味わっていたい。家の人や、他の誰かに見られたって平気。むしろ、誰かに見せ付けたい気分。だって、こんな凄いの、人間同士じゃ絶対に味わえないから。

甚五郎は。あたしの番いはどうだろう。

「ねぇ、甚五郎。気持ちいい?仲間の雌とするのと、どっちが気持ちいい?」

訊ねると、声が聞こえたのか、甚五郎が振り向いた。荒い息を吐きながら、満足そうに眼を細めてる。

そうか…甚五郎は、まだ2歳だから。ひょっとしたら、仲間の雌とはした事がないのかも。

−あたし、甚五郎の童貞、奪っちゃったのかな…?

また、甚五郎が射精した。頭の中が真っ白になる。意識が途切れそうな快感。

だけど…

もっと、もっと味わっていたい。熱いほとばしりを、膣で、子宮で、卵子で、ずっとずっと浴び続けたい。

あたし達二匹は、いつまでも交尾の快感に溺れていた。





結局、甚五郎のペニスがあたしの中から抜け出したのは、それから小一時間も経った頃。快感でもみくちゃにされたあたしは、暫く起き上がることもできなかった。

流し込まれた精液が流れ出して、股の間はまるでお粥のお椀を引っくり返したみたいになってる。どうにか体を起こして、お風呂のお湯をすくってかけた。

「凄い…まだ流れ出してくる」

余韻であそこが収縮する度に、大量の精液があふれ出してくる。まだ暫く止まりそうにない。そこへ、いつの間にか寄ってきた甚五郎が鼻先を寄せてきた。

「こら!」

あたしはその頭を軽く小突く。

「一度エッチしたからって、調子に乗らないでよ?」

お風呂場の床にお座りする甚五郎。嬉しそうにぱたぱたと尻尾を振っている。

「まったく、あんたたちはヤる事しか頭にないんだから…」

甚五郎は悪びれた様子もなく、一声わん、と鳴いた。



END


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